リフォーム瑕疵保険で工事不具合・業者倒産に備える

リフォーム瑕疵保険をご存じでしょうか。
手抜き工事や工事の不具合、あるいは、契約後にリフォーム業者が倒産してしまったなど、
リフォームにまつわるトラブルを身近な方から耳にする機会は少なくないと思います。

リフォーム瑕疵保険はこういったトラブルに巻き込まれないためにも、
リフォームをする前に知っていただきたい保険です。

リフォーム瑕疵保険とは

リフォーム瑕疵保険とは

リフォーム瑕疵保険は、”リフォーム時の検査補償がセットになった保険”です。

リフォーム工事の途中や完成時に専門知識を持った検査員が検査し、
工事内容に瑕疵※が見つかった場合には、補修費用をカバーしてくれます。

外見上で目に見える工事の不具合であれば、
リフォーム知識のない消費者であっても気づいて指摘することができるでしょう。

消費者ではわからない・判断できない工事の瑕疵を専門家が判断してくれるというのは安心です。

なお、この保険は事業者側が任意でかける保険です。
保険をかけたい場合は、工事が始まる前にリフォーム事業者にその旨を伝えましょう。

※瑕疵(かし)という言葉は、欠点・過ち、また、通常あるべき品質を欠いていることを意味します。

リフォーム瑕疵保険のメリット

補修費用を保険でカバーできる

もし、リフォーム工事に欠陥が見つかった場合は、
リフォーム登録事業者が保証書に基づき補修を行ってくれます。

保険金の支払い対象となる費用は、下記①〜③となります。
①修理費用
②調査費用
③転居・仮住まい費用等

第三者による検査の安心

専門の検査員(建築士)が設計施工基準に基づき検査を行います。
検査員は国土交通省が指定したリフォーム瑕疵保険の保険会社(5つの住宅瑕疵担保責任法人)から派遣されるため、
施工業者とは別の第三者の目でチェックされます。

リフォーム業者が倒産しても保証してくれる

リフォーム登録事業者が倒産した場合には、
補修費用などは発注者に直接支払われます。

発注者はその費用で別のリフォーム業者に補修を依頼することができます。

基準をクリアしたリフォーム事業者による工事

登録には審査があります

住宅瑕疵担保責任法人(リフォーム瑕疵保険取扱会社)に登録されたリフォーム登録事業者は、
建設業許可、リフォーム工事実績などの審査をクリアした事業者です。

参考サイト:住宅瑕疵担保責任保険法人 住宅保証機構「まもりすまいリフォーム保険 商品概要-ご利用いただける住宅事業者様

登録を解除される事業者もいる

一度リフォーム登録事業者に登録されたとしても
技術力が著しく低い、虚偽の申告をして事業者登録した、反社会的勢力関係者と判明した場合」など、
登録を解除されてしまう事業者もいます。

参考サイト(pdf):住宅瑕疵担保責任法人 住宅保証機構「リフォーム保険申込の手引き p2 2)欠格事由

国土交通大臣指定の相談窓口を利用できる

国土交通大臣がしているる相談窓口、
住まいダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)が提供する以下のサービスを利用することができます。

専門家相談・・・各都道府県の弁護士会で実施している弁護士・建築士による原則無料の対面相談です。住宅の不具合から契約上のトラブルまで対応しており、一部の弁護士会では、WEB相談にも対応しています。

紛争処理・・・住宅の不具合や代金などをめぐるトラブルが生じた場合に全国の住宅紛争審査会(弁護士会)の専門家(弁護士・建築士など)が間に入り、あっせん・調停・仲裁により、迅速な解決を図る手段です。

参考サイト:公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター「2022年10月から専門家相談と紛争処理の対象が拡大します

リフォーム瑕疵保険のデメリット

保険期間が短い

リフォーム瑕疵保険の保険期間は1年〜5年間(増築特約は10年)と、新築住宅の瑕疵保険の保険期間が10年であることと比べると短い傾向にあります。

保険期間保険金の支払い対象
5年間構造耐力上主要な部分※1が基本耐力性能を満たさない場合
5年間雨水の侵入を防止する部分※2が防水性能を満たさない場合
1年間上記以外のリフォーム工事実施部分が社会通念上必要とされる性能を見たさない場合
参考サイト:住宅瑕疵担保責任保険法人住宅保証機構「まもりすまいリフォーム保険 商品概要-保険金支払い対象・保険期間

リフォーム瑕疵保険をかけるべきか

リフォーム瑕疵保険は強制加入ではありません。

また、保険料の負担をリフォーム業者が行うか、発注者が行うかという決まりがありません。発注者が費用を負担することも考えられるため、自分が依頼する工事に保険をかけるべきかの判断を迷われる方もいると思います。

ここでは、どのような工事に保険をかけるべきかの参考になるようなデータを紹介いたします。

事故率・支払い保険金額

まずは、リフォーム瑕疵保険の事故率・支払保険金額を見ていきます。

出典:国土交通省「事故率・支払保険金額

①証券発行数・・・29,818件
②保険事故確定件数・・・140件
③事故率・・・0.825%
④保険金支払完了件数130件
⑤保険金支払総額・・・78,568,749円
⑥平均支払額・・・604,375円

簡単に言うと、事故発生割合は保険をかけた工事の100件に1件
1件あたりの支払額は約60万円です。

100分の1の確率で60万円程度の工事補修が発生すると考えると、
加入しておくのがよいと考えられます。

保険事故の発生部位

次に、保険事故の事故発生部位を見ていきます。どんな事故が多いのでしょうか。

出典:国土交通省「保険事故の発生部位

リフォーム瑕疵保険が分類される2号保険では前699件の保険金支払いのうち、
568件(81%)が”雨水の侵入を防止する部分”となっています。

この結果を見ると、
雨水の侵入を防止する部分に分類されるリフォーム工事を行う場合は、
必ずかけておくべきと考えられます。

保険料

保険料の面から見ていきます。

住宅保証機構「まもりすまいリフォーム保険 料金表」の料金表によると、
保険金支払限度額100万円の場合の保険料と現場検査手数料合計は、
40,350円、200万円の場合は42,600円となっており、
保険金支払限度額が2倍でも料金は2倍ではないことがわかります。

保険金支払限度額が大きくなるほど料金の保険金支払限度額に占める保険料+現場検査手数料の割合は小さくなります。

工事にかかる金額が大きい場合ほど、リフォーム瑕疵保険の料金はお得感が出てくることになります。

出典:住宅保証機構「まもりすまいリフォーム保険 料金表

リフォーム瑕疵保険をかけるかどうかを一律に判断することはできませんが、

・雨水の侵入を防止する部分の工事
・工事金額の大きな工事

を行う場合は、加入すべきではないかと考えられます。

リフォーム瑕疵保険の加入事業者を調べる方法

住宅瑕疵担保責任保険協会 公式HP内「登録事業者等の検索とは」のページで、

審査を受けて登録された事業者を検索することができます。

リフォーム工事を検討中の方は、リフォーム瑕疵保険に加入できる業者の中から依頼先を探してみるのもよいかもしれません。

参考サイト:住宅瑕疵担保責任保険協会「登録事業者等の検索とは」

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